CROSS-POINT(6)
この状況下で、僕は新たな感情が芽生えていることに気づく。それは興味であり、好奇心。自らの知に対する挑戦を楽しんでしまう、僕の悪癖というやつだ。
こうなっては仕方がない。僕は僕自身の知を満たすその欲求にあらがう術は知らない。知りたくもない。いいさ、知恵者ナインの名、受け取ろうじゃないか!
「本当に、面白い、ね。迷いが、消え、てるね」
「あぁ、そうさ。不安や恐れで身動きできないなんて、愚かしいことさ。一つ一つ具体的に考えていけば、恐れや不安なんてただの心の弱さでしかないと馬鹿でも気づくさ」
たぶん、僕は笑っていたと思う。自然と口元が緩んでいく。胸を張り、身を起こすことで僕に自信が溢れてくるのを感じる。僕は気のたかぶりを全身に感じていた。
「知的、好奇心、ね。僕には、ない、感情、だ。羨ましい、よ」
「ない感情? 不思議なことを言うね。感情がないなんてこと、あるのかい?」
僕はスリーの言葉を不正確に繰り返した。
「そう、かも、しれない、ね。
でも、お生憎、さま。教えて、あげる、よ。
僕は、伝話、に、特化した、存在。君は、知識、に、特化した、存在。お互い、足りない、何か、を、持っている、のさ」
「なるほど――自分の優位を譲らないってことね――でも、それは人の世ならば常にあるものだろう? 違うかい?
人は前者を才能と呼び、後者をコンプレックスという。人間ならだれしもあることさ――人なら、ね――」
言って僕は何も無い空間に身を投げ出す。そのままいったら、確実に腰をしたたかに打ち付けたろう。だが迷いはなかった。スリーには、一瞬、何の支えもなく 空間に固定されたように見えたことだろう。そう、僕は足を組んだまま、スリーと対面する形で彼とまったく同じ椅子に座っていた。
「さすが、だね。君、は、強い、精神力、が、あるのかも、しれない、ね。今まで、きた、なか、で、一番、早い。
ここ、の、コトワリ、を、つかんだ、かな?」
「そうかもしれないね」
やれやれ、僕はとことん意地が悪くできているらしい。
(つづく)
アルファポリスの
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