CROSS-POINT(8)
「魂だけ、だろう?」
存在しているが同時に存在していない。
彼自身はおそらく僕が認知して意識下から生み出した存在 ではないだろう。だとすれは、スリーはそこに存在する。だが、あの途切れ途切れの会話。無貌と仮面。どうにか人たるを形成しはしたが、彼の身なり――着て いる服は僕の服だ。とすれば、服の中身は空っぽ。この世界で肉体を持ち得ない魂だけの存在なのではないか……と愚考してみたのだが、さて、リアクションは どうだ?
スリーの動静、仕草を漏らさず観察してやるつもりで彼をみやる。すると彼は満足そうに、だが乾いた声で笑い声をあげた。
「は、は、は、は、は……
素晴らしい、よ、ナイン。その、通り、だ。僕、は、言わ、ば、情報、生命、体。別、な、世界、では、精霊、とか、妖精、幽霊、なんて、呼ばれる、こと、も、ある、ね。でも、君、が、僕の、現実、に、追いついて、ない。だから、こう、せざるを、えない。
そこ、で、提案。僕の、現実、を、君に、伝える」
瞬間、僕の中に彼の現実……その一部が流れ込んできた。今まで認知していなかった、認識できずにいたものが彼の膝の上にあらわれていた。いわゆるモバイル・パソコンであった。
ディスプレイを開くと、軽快で規則正しい音を立てはじめ、止まる。そして彼が見せてきたものとは、一つの途切れもない滑らかな文章であった。
(つづく)
アルファポリスの
『第二回ファンタジー小説大賞』
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