FROM:どM貴公子齋藤信
先日、配置の関係上、数年ぶりにNST委員会に代理出席しました。
ご存知の通り、栄養サポートチーム(NST:Nutrition Support Team)のことなのですが、今年度の4月から入院基本料に含まれていますので、入院されている患者さん全員に対しての栄養管理が義務化されていましたね。
併せて、褥瘡予防対策も義務化していますので、栄養士、専従看護師の皆さんはめまぐるしい思いをされていることでしょう。
あぁ、もちろん僕が書く記事ですから、『大変ですね、頑張ってますね』って内容では終わりません。
むしろ、ちょっとした香辛料を効かせちゃいます。
委員会の場で、少し質問をしてみたんですね。
『病院給食、少し冷た過ぎやしませんか?』
実は、この夏に冷やしうどんが何回か出たんですね。
味は申し分ないのですが、いかんせん、量は多めで、それを食べ切った後に、かなり内臓への負担感を感じたんですね。
僕自身、IRAのおかげで、自身の身体状態に向く意識が強くなったせいもあるのでしょうが、内臓が硬くなる感じがしたんですね。
そこで考えました。
ウチの患者さんは精神科のお薬を飲んでいるわけですが、その副作用によって内臓の動きが鈍くなっています。
そこに、内臓に負担がかかりやすい冷たい食べ物が体内に入った場合、いつも以上に消化が悪くなる。
単純ですが、これは事実ですよね。
で、質問の話題に戻しますと、返答内容が……
『どの食べ物が冷たかったですか?』
『基本的に、食中毒予防を前提に考えています』
『当院では、冷たい食べ物は5℃、温かい食べ物は65℃で設定しています』
『これは指導による基準に基づいています』
『何が冷たかったのかな?』
といった返事でした。
なるほど、温度設定が基準では仕方ないとして、発想がそもそも内臓の動きと言うものまでいかないのだな、と感じたんですね。
西洋医学や科学的視点では現在の医療の最先端の情報で構成されているので、間違ってはいないのでしょう。
ですが、栄養管理が数字データ化されていても、患者さんの身体に起きている反応については視点がそもそも無いのだな、とも思いました。
無い、というより、みている処が違う、が正確なのでしょうが。
また、看護の方からも、
『お腹に入れば蠕動運動があるんだから冷たいままって事はないでしょ』
ですって。
そこじゃあない! そこじゃないんですよ!
では、その食べ物が温まるまで内臓は動き続けるわけですよね。
また、冷えは蠕動運動を阻害はしないんでしょうか?
冷えがその蠕動運動を阻害すれば、いつもより内臓に食物がある時間が増える。
結果、いつも以上に消化のためにエネルギーを消費すれば、次第にエネルギーの生産が追いつかなくなるのでは?
『冷たい食感は食欲を増進させるじゃない』
わかりますが、そこじゃないんです。
まぁ、意図が伝わらなかったんですよね。
しかも、何でそんな質問してるのな雰囲気。
全員が全員、僕が異邦人な目でみてくるわけですから、仕方なく引き下がる事に。
おそらく、問題にすらされない感じでしょう。
給食業者の偉いさんは何かしら反応していた様子ですが、さて……。
ま、久しぶりに担当外の委員会に顔を出してみると、色々な気付きがあって面白いと思いました。
江戸、明治、大正と、日本人は世界に恐れられる身体能力を持つ国民だったと言われています。
食文化が西洋化し、科学が発達していわゆる適温とされる食事形態が幅を効かせる時代になりました。
文化が向上したと言う人もいますが、肉体的には低下している現状は否めないですよね。
集団になると変える事の出来ない仕組みが存在しますが、個人で思うことのある方は、自分で実践してみる事をお勧めします。
今日から、アナタの口に入る食べ物を温かいものに変えてみませんか?
JIR協会 東京支部長
作業療法塾 塾長
どM貴公子 齋藤 信
追伸 1
ちなみに、僕は冷たいものを食べると体調を崩すので、ほぼ温めてから食します。
ビールも常温派。
追伸 2
精神科リハビリを行うなかで、内臓にアプローチすることをしてこなかった方へ。
11月23日の精神科OT限定セミナーでは、患者さんのイレウス予防になる内臓アプローチも行います。今回のコラムで思う事がある方は、今すぐ受講してください!
追伸 3
最近、急激に寒くなってきました。内臓が冷えていると、ぎっくり腰の原因にもなります。腰が不安な方は、ご注意を!
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